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望獲 つきよ先生

名 前
望獲 つきよ(のぞみえるつきよ)
性 別
女性
占星術
タロット

長い間このお仕事を続けてきて、とてもたくさんの人とお話ししてきました。あらゆる業種の方、あらゆる悩みを持った方とお話しできて、いつも思うことは、わたし自身、…

クリスマスの伝説3(前) ***望獲つきよ

2010年12月25日 written by...望獲 つきよ

ただ今、クリスマスと小鳥にちなんだ伝説を、待降節の間に四つ紹介する...
という企画を行なっています。※待降節につきましては、クリスマスの伝説1をご覧下さい。

が、どうしても時間がとれずに今日になってしまいました^^;
ごめんなさい。
最後の一つのお話を、二つに分けてご紹介しましょう。


今日のお話は、小鳥は殆ど出てきません。
ついでにいうと、実はクリスマスではなくて、復活祭のお話です^^;
lo Scoppio del Carro ロ・スコッピオ・デルカッロという
フィレンツェのおまつりの元となった伝説でもあります。


小鳥は活躍しないのですが、
鳥の聖なる物語を思い起こすと、
わたしは真っ先にこのお話を思い出してしまいます...






今から1000年以上も昔のこと...

フィレンツェに一人の貴族がいた。
名前は、ラニエリ。
フィレンツェでも他に並ぶ者のない程の名門、パッツィ家の当主だった。

ラニエリはお金持ちで、見た目もよく、
腕っ節も、お酒も強く、歌も上手く、友達もたくさんいた。
その上名門の出なのだから、
欲しいもので手に入らないものはなかった。

このような人の例に漏れず、
ラニエリは幼少の頃より乱暴者で傲慢ではあったが、
その一方で気前良く単純でもあったので、
嫌っている人もその気持ちを隠して、彼について回った。



しかし、そんなラニエリにも欲しくて欲しくてたまらないのに
どうしても手に入らないものがあった。

それはごく平凡な一人の女の子──
幼なじみの女の子のハートだった。

彼女はよちよち歩きの頃からラニエリといつも一緒だったが、
他の子たちのように、ラニエリの機嫌をとることはなかった。
いやなことはいやといい、
ラニエリが不機嫌になっても、怖れることはなかった。

ラニエリには、彼女がなぜ、
他の子のように自分にぺこぺこしないのかわからなかった。

だから年頃になると、
ラニエリは彼女になんとかうんと言わせたくて、
花やお菓子や、たくさんのドレスを送った。

しかし彼女は、ラニエリとも、他のどんな男の子とも
つきあうことはなかった。

花やお菓子は、丁寧な手紙とともに返ってきた。


「お気持ちをありがとう。
 とてもうれしいです。
 でもわたしの欲しいものはこれではありません」


なんという傲慢な女なのか。
ラニエリはとうとう怒ってしまった。
町中、いや国中の女が胸をときめかして俺の腕に転がり込んでくるのに。

その俺に贈り物をもらって、いらないだと?
他のモノをよこせだと?

自分を女王とでも思っているのだろうか?


ラニエリには彼女を愛しているとか好きだとかいう自覚はなかったのだけれど、
自分にできないことがあるのは、どうしてもガマン出来なかった。

なんとしても、ウンと言わせる。
あの女をこの俺の恋人に...
いや、あの女と結婚をする!

絶対に自分のものにしなければ、気が済まない。


町の人たちは、ラニエリの様な男が
こんな平凡な女に夢中になるのが全くわからなかった。


「理由などなんでもかまわん。
 ラニエリがやる、と言ったらやるのだ!」


だからラニエリはますます激しく贈り物をして・・・
ついには、彼女の足元に身を投げ出した。


「なぜだ!
 俺の何が不満だ!?
 どこをどう直せば、お前はうんというのだ!?」

彼女はまっすぐにラニエリを見て、静かに答えた。

「あなたは乱暴で、優しくありません。
 あなたはすぐに怒鳴るし、
 他人の気持ちを思いやることもない。
 わたしは本当の貴方が、心優しい方なのを知っています...
 お酒とお金が、あなたを変えてしまうのです」

ラニエリは急いだ。

「それで?
 だからどうすればいい?」

「わたしはあなたに、
 生まれたままの素直で優しい方になっていただきたいのです」

彼女は答えた。

「お酒をやめて、お金を貧しい人に施してください。
 それが何よりですわ」


なんだくだらない。簡単なことだ、とラニエリは思った。
これまで自分にできなかったことはない。

今までこの女に贈ってきた天下の宝物に比べれば、
そんなことはとるにたらないこと。


ラニエリはすぐに酒を断ち、
財産の半分を教会に施して、女のもとに現れた。

彼女はラニエリにキスをして、その日からラニエリの妻になった。
美しく強いラニエリのことを、
彼女も又、ずっと密かに愛していたのだ。





だが、ラニエリが酒を断っていたのはわずかな間のこと。

悪い仲間達が次々にやってきて、

「お前らしくもない」
「女房にするためについた嘘なのだろう?」
「もう結婚したんだ。約束は終わりだ」

と言ったからだ。

ラニエリもすぐにそう思った。
そもそも、欲しいものはもう手に入ったのだ。
ばかばかしい約束も終わりにして良いはず。


そこで彼は元通り夜通し飲んで騒ぎ、
ぶつかられたといっては年寄りを殴り、
平凡な妻よりずっと美しい娘達の尻を触って歩いた。
ケンカして店の窓ガラスを壊しても謝らず・・・

全くいつもの暮らしに戻った。

ひとつだけ違うのは、
彼が暴れた後には妻の姿が必ずあることだった。
彼女は夫が殴った年寄りに謝り、傷の手当てをし、
飲み屋のつけを払い、壊したものを弁償してあるいた。

そして酔って眠る夫を介抱し、
もくもくと彼につかえた・・・


彼女は、ラニエリを愛し続けると神様のまえで結婚の誓いをした。
しかし、一年が経ち、二年が経ち、三年が経つと、
神様の前で泣くようになった。

神様との約束を守る自信がもう無かった。
ラニエリは、一度たりとも「ありがとう」と言ったこともない。
「愛している」といったこともない。

まるで彼女を家具のように扱うのだ。

自分の愛がだんだんに壊れてきたのを感じた。
彼女の輝かしい愛にはヒビが入り、
色も以前と違って褪せてきた・・・

もしかして、もう少しすると、
もう直すこともできないほど粉々になってしまうかもしれない...。
あんなに強かった愛なのに...







ある日、酔ったラニエリは怒鳴りながら帰ってきた。

「俺は十字軍に参加する!
 異教徒どもから、エルサレムを取り戻すぞ!!!」


戦争には全く興味の無かった夫が、そんな風に言う。
なんとなく想像はついた...
誰かが、

「いくらラニエリでも、
 野蛮人のようなつわものの異教徒は倒せまい」


──と言ったにちがいない...。
この人は、誰かにできない、と言われるとすぐにやりたがるのだから。

そして悲しく思った。
わたしのことも、そんな気持ちで手に入れたにちがいない・・・

それだけにちがいない...。


翌日、ラニエリは本当に戦の支度をして、妻を驚かせた。
彼は上機嫌で鎧兜を磨き上げ、

「戦勝の土産に何が欲しい??」

などと聞いている。
妻はいつものようにまっすぐにラニエリを見て、

「何も要りませんわ」

と言った。

町中の美しい娘が、花や宝石をねだるのに、
妻だけは何も要らないという。
ラニエリはカッとなって、

「きさま、俺が勝てないと思っていうのだな。
 お前はいつもそうだ!」

と叫んだ。
しかし、叫び声は途中でしぼんだ。
妻が泣いていたからだ。

子供の時、ラニエリはこの女を殴ったことがある。
しかし、彼女は決して泣かなかった。

それが今、何もしないのに泣いているのだ...

「勝っても勝たなくてもいい。
 あなたが無事に戻ってきてくださるだけでいい」


妻はそう声を絞りだし、
ラニエリは生まれて初めて、彼女をしみじみと眺めた。
何かが心の中に生まれそうな気がしたが、
その時は気付かなかった...





ラニエリがやる、といったらやる。

それはラニエリの口癖だったから、本当に今回もやりとげた。
フィレンツェからはるばるエルサレムまで進軍し、
戦の陣頭指揮に立ち、
異教徒を倒して、エルサレムを取り戻した。

この偉業はフィレンツェにも届き、
人々はラニエリの名を叫び、通りに花びらを蒔いた。

ラニエリの妻は泣きながら、
神さまに夫の無事について、心から感謝した。


ラニエリは一番の手柄を立てたので、
どんな報償でも、自由に願い出る権利を得た。

ふっと妻の姿が目に浮かんだ...
あいつがあっと驚くものを持って帰りたい。

気がつくと、それだけを思っていた。

しかし彼女は宝石も身につけず、
花は路傍の花で満足し、
食べ物もパンと葡萄酒があれば満足な女であった。

しばらく考えて、思い出したのは、
朝に晩に、いつも神に祈る、信心深い女であることだった。

そこでラニエリは、エルサレムの町を歩き、
聖墳墓教会をたずねた。
そこは、キリストが十字架にかかって人として死んだ、
ゴルゴダ(されこうぺのこと)という名前の丘であった。

聖墳墓教会には、キリストの栄光と復活を示す火が、
ろうそくに灯されて、ほの明るく輝いていた。

ラニエリは、妻がいつもろうそくに火を灯して、
熱心に祈っているのを思い出し、
この火こそ、彼女を驚かせる最大の贈り物であると考えた。

なにしろキリストの墓にともっていた、聖なる栄光の火なのだ。

この聖火をフィレンツェまで持って帰ることができれば、
しかもこれを教会の祭壇に捧げれば、
あの女もさすがに感心し、俺に頭を下げるだろう・・・





ラニエリは聖火を大切そうに掲げ持ったが、仲間達はあざ笑った。
いくら豪傑のお前でも、
その火をフィレンツェまでもって帰ることはムリだろう。

途中で消えるかもしれないし、
第一ろうくが持つまい?

しかしラニエリはいつものように、
「ラニエリがやる、といったらやるのだ!」と叫んだ。

そして召使いに蝋燭を1000本買いに行かせ、
自分の馬にその荷をつないで、フィレンツェに向けて旅立った。


まず最初に、馬に乗ること自体が問題だった。
ほんの少しの風でも、ろうそくの火は消えかける。
馬に乗って進むと、その風圧で火が消えてしまうのだ。

仕方なくラニエリはいろいろな工夫をして、
ついに、後ろ向きに乗ることを思いついた。

それでも突然の突風が怖い。
さらに、マントの中に、ろうそくを覆い隠すことにした。

それでも、容赦なく風は吹き込む。
ろうそくが揺らめくたびに、自分の心臓が止まる思いがする。



ラニエリは、思ったより、この旅はやっかいそうだな...と思い始めた。


眠っている間は、召使いが交代で火を守ったが、
一度など、火が消えかけているのに居眠りをしていた。
ラニエリは飛び起きて、もう誰も信じられないと思った。

自分がやらなければ。
一人でやらなければ。

夜も殆ど、寝ずに歩いた。

ある時は、飛んできた鳥の羽ばたく風で、
ある時には不意の雨で、
ろうそくは常に、消え去る危険とともにある・・・

次第にラニエリは、ろうそくのこと以外、何も考えられなくなってきた。

ろうそくを守らなければ。
ここに灯されているこの小さな火を。
約束の火を、絶対に消すわけにはいかない──

ただそれだけを考えた。



そんなある日、ラニエリを盗賊が襲った。
彼は盗賊をあざ笑い、
自分を十字軍の勇士とも知らず、バカなやつらだと思ったが、
ろうそくが立ち回りの邪魔をした。

何しろ少しでも風を起こすと消えてしまう。

そっとそっと剣を振り回しているうちに、
一太刀も浴びせることのできぬまま、捕らえられてしまった。

ラニエリは必死で叫んだ。

「ろうそくだけはカンベンしてくれ。
 なんでもやる、ろうそくだけは!」


しかし、ぬすびとたちは蝋燭を根こそぎ持ち去った。
ラニエリの着ていた豪華な服も鎧も、馬さえも。

残ったのは年老いたロバと、今にも燃え尽きそうなたった一本の蝋燭だけ。
盗賊が投げ捨てていったボロを纏い、
年老いた馬に後ろ向きに乗って、
がっくりうなだれて進むラニエリを、誰もが頭がおかしい哀れな人だと思った。

「だれかろうそくをくれ・・・
 ろうそくを分けてくれ・・・」

うめくように、誰と言わず手を出して物乞いする彼を、
人々は哀れむように見て、避けて通った。

それがフィレンツェで知らぬ人もない貴族のラニエリだとは、
誰一人気がつかなかった。

ラニエリはよろよろ進み続けたが、ろうそくはいよいよ燃え尽き、
指が焦げるほどであった。
そこでマントの端を破って火をつけたが、それもたちまち、燃え尽きた。

彼は地面に身を投げ出し、
枯れ葉や枯れ枝、ゴミ屑など、
ありとあらゆる燃えそうなものを必死でかき集め、そこへ火を移した。


しかし、この焚きつけを、どうやってもって歩いたらいいだろう?

そう思う間にも、火は次第に弱っていく・・・




後編につづく





続きは明日の朝になります。
みなさま、良いクリスマスをお過ごし下さい。

今が良いときと思う方はゆっくりと楽しめるよう、
そうでない方は、一日も早くその時が過ぎ去りますように!

そしてどちらの方も
後に今日という日を思い出した時、笑顔になれる・・・
そんな一日でありますように。

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クリスマスの伝説2 +++望獲つきよ

2010年12月13日 written by...望獲 つきよ

クリスマスまでの四週間(正確には、+弱ですね^^a)を楽しもうということで、
先週から、クリスマスと小鳥にちなんだ伝説を紹介しております。

今週は二回目です。
全部で三本と思いましたが、待降節は四週間...
やはり四本そろえたい...ということで、
クリスマスにも一本、更新することにしました!

今回もどうぞ、お楽しみいただけますと幸いです。

今回はキリスト教というより、
もっとずっと古代の神話のお話です。
それがやがてキリスト教と結びつけられ、現在の形になりました。
今でも、古い形で伝えられている地方もあります。

このお話は主にフランスのノルマンディー地方で語り伝えられ、
現在も古い形のまま、子供達に愛されています。

日本にもいる小鳥のお話なので、最後に写真を掲載しました。
でも、お話を読んでいるときは、
「こんなかな?」「あんなかな?」と
イメージをふくらませていただけると嬉しいです!







むかし...
とてもとてもむかし...

人間達がまだ、粗末な皮の服を着て裸足だった時代のこと。

ノルマンディーの冬は厳しく、
海からはいつも、凍てついた風が吹きつけていた。


人間達は肌を寄せ合い、
母親は子供たちを抱き、父親は母親を抱きしめて、
みんなでぎゅっと固まって、
冷たい、強い北風に耐えていた...


天使の羽根と美しい魂で作られた鳥たちは、
神さまの言いつけをとよく聞き、
優しくて賢かったので、神様にとても愛された。

北風が吹くときは翼を広げて天国まで飛んでいき、
そこで歌ったり、踊ったり、
冬の間中、とても楽しく過ごしていた。


けれども粘土で作られた人間達は、
神様の言いつけに背き、
嘘をつき、殴り合い、
ついには、神様の家から家出してしまった。

だから寒くても、天国へは帰れない...


やがて長い時間が経つと、
天使も神様も、だんだん人間のことを忘れてしまった。








しかし、鳥たちだけはそうではなかった。

鳥たちは天国の門をでて、
時々人間の町へ遊びにやってくるからだ。


人間の足元に舞い降りたり、
近くの木にとまって眺めていると、
人間は時々、食べ物の屑を投げてくれた。

おいで、と声をかけて、にっこり笑ってくれた。

天国と違って、食べるものも少ない...
笑顔だって作るのが大変な、この地上なのに...


だから、小鳥たちは人間が好きだった。

人間は嘘をつき、殴り合い、
神様の家から家出をしたけれど...

わたしたちには、とても優しくしてくれるのだから。


小鳥たちは、冬になると、人間達がぶるぶる凍えているのを見てきた。
小さな赤ちゃんが、寒すぎて死んでしまうのも見た。

それを見ていると、温かな天国にいるのに、
心がぶるぶると凍えた...

わたしたちに笑いかけ、
少ない食べ物を投げてくれた生き物。
それがああして、寒がっている...

それを見ると悲しくなって、小鳥たちは泣いた。


愛する小鳥たちが泣くのを見て、
天使も神様も、その嘆きに耳を傾けた。


「かみさま、てんしさまたち。
 にんげんは、わたしたちにとてもやさしいです。
 少ししかないものを、分けてくれます。
 悲しいときでも、わたしたちに、にっこりしてくれます。
 
 わたしたちはにんげんが好きです。
 
 にんげんは寒すぎて、いつも泣いています。
 それを見ると、わたしたちも涙が出ます。 

 どうか、にんげんを、許してください。
 にんげんを、たすけてください!」


神様はそれを聞くと、心の底からうなずいて、
小鳥たちに、ある秘密を話してくれた。

それは、「火」という不思議なものの秘密だった。






火は、とても奇妙なものだった。

それは真冬でも、真夏の太陽のように温かく、
真夜中でも、真昼の太陽のように明るかった。


小鳥たちはおお喜びした。
そうだ。もし「火」を人間達にプレゼントしたら!

人間達は、真夜中が暗くて震えることも
真冬が寒くて震えることももうなくなるのだ!


小鳥たちは神様に、「火」はどこにあるのですか?と尋ねた。
わたしたちは、人間にそれを贈りたいから──。



神様は難しい顔をして、太陽を指し示した。

「あそこだよ」


小鳥たちは太陽を知っていた。

優しく作物を作ってくれる太陽。
夏の日だまりを作る太陽。
いつも、暗い夜を打ち破ってくれる太陽。

しかしその地獄のように熱いこと。
触れれば瞬時に燃え尽きる、恐ろしさ。
そして何より、
信じられないくらい遠くにあるのだということも知っていた...


鳥たちの中で一番賢い、カラスが言った。
「とてもムリだ。太陽に着く前に、寿命が尽きてしまうよ」

鳥たちの中で一番速い、ハヤブサも言った。
「俺はとても速い。俺ならあそこに着くまで命が持つだろう。
 けれど、余りに熱すぎて、死んでしまうにちがいない」

鳥たちの中で一番強い、ワシも肩を落とした。
「わたしはとても強い。
 しかし太陽ほどには強くはないだろう...
 彼はわたしを焼き尽くすにちがいない」

鳥たちの中で、一番長生きで物知りなふくろうも言った。
「わたしは全てを知っている。
 しかし、太陽にたどり着く方法については、
 ひとつも知らないのだ」


鳥たち全員が、ガッカリして空を眺めた。


しかしその時、一羽の小さな小鳥が、胸を張って踊り出した。
「わたしが行くわ」


鳥たちは驚いてその小鳥を見た。
小さくておしゃべりな雀や、
歌声の美しいウグイスはとても小さいことで有名だったけれど、
その小鳥は、彼等よりずっとずっと小さかった!

雀の半分より、ちょっとだけ大きいくらいのこの鳥は、
あまりにも小さくて、これまで誰にも気付かれなかった。
みんなに誰だ、と言われて小鳥は誇らしそうに名乗った。


「わたしは、一番最後に作られた小鳥なの。
 みんなを作ったあと、ちょっとだけ余った天使の羽根で作られたのよ。
 だから色もないし、まだ名前もないわ」


鳥たちは口々に彼女の無謀を諫めた。
強いワシも速いハヤブサも
賢いカラスも、長老のふくろうにもできないのだ。
どうしてお前のような、
雀の半分しかないような、
色も名前もないような小鳥にそれができる?


しかし、名無しの小鳥は聞かなかった。
小さな胸をしっかりそらして、小鳥は言った。

「わたしには、あなたたちにないものがある」


それは何? 一体何なんだ?
彼女の小さな嘴にも、短い足にも、
色のない 小振りな翼にも
何も、特別なものはないように見えた。

小鳥たちは興味津々で尋ねた。


「わたしは賢くない。
 わたしは速くない。
 わたしは強くない。
 わたしには、経験と知識もない。
 
 けれど、わたしには勇気があるわ!」


勇気、勇気...
小鳥たちはその言葉を繰り返してみた。
そして、確かに、
それは鳥たちの誰が持っているよりも、素晴らしい宝のように思えた。

この子にならできるかもしれない...
小鳥たちはそう信じられる気がした。

こうして、小さな小さな小鳥は
みんなの代表として、太陽に向かって飛び立っていった。





それは、小鳥が思うよりもずっと厳しい道だった。
太陽は何度も、語りかけた。

「名もない小鳥よ。もう帰りなさい。
 わたしはお前を焼きたくない」

しかし小鳥は答えた。

「太陽さん。
 わたしには待っている人たちがいるの。
 わたしは、行かなくてはならない!」

太陽は言った。

「小鳥よ、小鳥。
 どうかお帰り。
 そらお前の尾羽が燃えている!」

小鳥は答えた。

「いいえ。
 わたしは諦めない!」


太陽は最後にもう一度話した。

「小鳥よ、どうか帰ってくれ。
 わたしはお前の命を取りたくない」


しかし、小鳥はもう答えなかった。
胸の柔らかい毛にも、優しい翼にも、太陽の火が燃え移り、
小鳥は全身火だるまになっていた。
もう話すことが出来なかったのだ。


しかし小鳥は思った。
これが火!
わたしは火を手に入れた!
人間達よ、待っていておくれ...


けれど小鳥は、飛ぶ代わりに、
きりきりと天の高見から、落ちていった。
翼が燃え尽きて、もう飛ぶことができなかったのだ。


下の方に、丸い地球が見えた。
あそこにはたくさんの人が待っているのに・・・
もう帰るだけの力はないのだろうか──。



そのとき、青い地平から、
たくさんの小さな点のようなものがもこもこと起きあがってきた。
それは、寄り集まって、津波のように立ち上がり、
焼けこげて舞い落ちる小鳥を、あっという間に飲み込んだ。


「小鳥よ、小鳥!」
「お前の勇気は無駄にはしない!」


それは無数の鳥たちだった。
全世界の、ありとあらゆる鳥たちが、
この世のありとあらゆる場所から、
小鳥の勇気に胸打たれ、天へ向かって舞い上がってきたのだ。

鳥たちは大きな生きた波のように寄せ集まり、
優しい羽毛で、焦げた小鳥を包んだ。


そして小鳥を、懐かしい大地へ、そっと抱き戻してやった...


ワシが強い翼で小鳥を抱き、
カラスは賢い知恵で火傷を診立てた。
フクロウは薬草の知識を語り
ハヤブサがそれを求めて走った。


みんなに介抱されて、小鳥はすぐに目を開けたけれど、
その目には大粒の涙が浮かんでいた。


「わたし、太陽まで行ったのよ...
 でも、火を持ち帰れなかった!
 身体に火がついたのに、見て、みんな消えてしまった!!」


小鳥のふわふわした羽毛は、みんな燃え尽きて丸坊主になっていた。
身体には一本の羽毛もなく、つるっとした肌があるばかり...


しかしおしゃべりな雀が指さした。


「いや、みんなこの子のおでこを見ろよ!
 消えない火が燃えている!」


小さな小鳥の額には、今まで無かった色がくっきりと印されていた。
それは黄金の、とても小さな炎だったが、
決して消えることはなかった。


ハヤブサがそれを藁に移らせて、
人間のすみかにそっと置いてきた。


すると人間の家から、すすり泣きの代わりに
やさしい笑い声が聞こえてきた。


鳥たちはそれを聞くと、なんとも幸せな気持ちになった。
そして、こんなに幸せな笑い声を作ってくれた、
小さな、小さな名もない小鳥に、心から感謝した。



鳥たちは、感謝の気持ちを現わすために、
自分たちの羽毛を、小鳥にプレゼントすることにした。
一筋一筋引き抜くと、
小さな小鳥の焼けこげた身体に植えてやった。


小鳥は元通り、ふわふわで愛らしい、
柔らかな体になった。
神様から貰った天使の羽根は、みんな焦げて無くなってしまったけれど。

そのうえ全世界の鳥たちの色が混じってしまい、
なんとも言えない奇妙な色になった。

しかし小鳥は全く気にしなかった。
みんなの気持ちが嬉しかった!



小鳥は神様に、
自分の貰った新しい羽毛を見せに行った。
神様はにこにこして小鳥を撫でてやり、

「わたしからもお前に贈り物をしよう」

と、消えない炎が燃え続ける、小鳥の小さな額を撫でた。

「この愛の炎の記念に!」

すると、神様が撫でたところには、
炎の代わりに、天使の羽根でできた黄金の王冠が生まれた。


それは小さな小鳥の小さな額に輝く、
世界一小さな王冠だった。

富でも権力でも名誉でもない、
ただ、愛と勇気と献身を記念するだけの、王冠だった。

だがそれは永遠にくすまない、
そして永遠に朽ちることのない、
天国の、不滅の王冠だった。



「お前にはまだ、名前もなかったね...
 今日からお前は、【小さな王】と名乗るがいい」


鳥たちは、
自分の羽根を一筋ずつ持っているこの小鳥が、
自分たちの王様になることを大歓迎した。



こうして、この小さな小鳥は、今でも「王」と呼ばれ、
その勇気は永遠に消えない炎として、
小さな小さな額に
今もくっきりと燃え続けているのである・・・・







いかがでしたか^^
はるか古代に、
小鳥たちがわたしたちにくれたクリスマスプレゼント...

ちょっと想像しただけで、
涙が出るほど嬉しくなるのはわたしだけでしょうか??


ありとあらゆる可能性が閉ざされたとき、
わたしたちを助けるのは勇気だけかもしれません。
それは、「希望」と置き換えても良いかも知れません。

勇気を持ってがむしゃらに努力した時、
それでも届かない部分は必ず、誰かが助けてくれる...
この伝説は、そんなことを教えてくれているような気がします。


この小鳥は、和名をキクイタダキ(王冠が、菊の花に見えることから、
菊を戴いている、という意味です)、英語名をファイアクレスト(炎の紋章)、
ラテン語名をレグルス(小さき王)といいます。

さて...
世界中の小鳥の羽根をもらって、なんとも言えない妙な色になってしまった
王冠をかぶった小鳥の、愛らしい姿をご覧下さい!
体長9cm、体重なんと5g!!
ウグイスや雀の仲間です。

kiku.gif

ちなみに、この伝説、もともとはミソサザイの話だったのでは...という説もあります。
ミソサザイの羽根も、たしかにそんなイメージですよね!

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クリスマスの伝説1 +++望獲つきよ

2010年12月 7日 written by...望獲 つきよ

間もなくクリスマスですね!
キリスト教を信仰していなくても、この季節にきらびやかな町並みを見ていると、
なんだか華やいだ気分になります。



キリスト教では、11月末日に最も近い日曜日から、
イエス・キリスト生誕の12/24まで(※)を、アドベント期間(待降節・降臨節)と呼び、
この間にとても楽しい催しや儀式がたくさんあります。
※各派によって異なりますので、興味のある方はお調べになってみても面白いかと思います。

最近では日本でも目にするようになった、アドベントカレンダーなどはその最たるものですね。
毎日一つずつ、日付の書かれた小窓や箱を開けることによって、
クリスマス・イブまでの日を数えていくことができるようになっているものです。

箱や窓の中には、可愛い絵や小さなオモチャ、お菓子など隠されていて、
クリスマスまで待ちきれない子供達の、毎日の楽しみになるのです。

待降節は約四週間。
それには一週間欠けますが、
今週からクリスマスの週まで、わたしの大好きな小鳥にちなんだキリスト教の伝説を、
毎週一つずつご紹介していきたいと思います。

お楽しみいただければ幸いです^^





イエス様がまだ、とても小さかったときのこと。

イエス様は近所の子供達と同じ、
よく遊び、よく走る小さな、とてもかわいい子供でした。

ただイエス様のお家はとても貧しかったので、
イエス様にはオモチャがひとつもありませんでした。

優しいお母様と強いお父様に囲まれて、
イエス様は貧しくてもとてもとても幸せでしたが、
それでもみんなが楽しそうに遊んでいるオモチャを、
ときどき、羨ましそうに見ていました。

可哀想に思ったお父様のヨセフ様は、
イエス様に
「これで好きなものを作って遊びなさい」
と、ひとつかみの粘土をくれました。

イエス様のお父様は大工さんでした。
だから、イエス様のお家には、
木の屑や、粘土や、建物を造るときの道具や材料がたくさんあったのです。

イエス様は大喜びして、さっそく粘土を外に持ち出して、
いろいろなものを作って遊びました。

イエス様はお父様に似てとても器用でしたので、
すぐに素敵なものが、たくさんたくさんできました。

やがて、子供達が集まってきました。

「何をしてるの?」
「とても楽しそう!」

イエス様はにこにこして、
たったひとかたまりしかない粘土を、どんどん分けてあげました。
自分にオモチャを貸してくれなかった子にも、
喜んで貸してくれた子にも、
初めて会った子にも、
ずっと楽しく遊んでいた子にも、
同じように、少しずつ分けてあげました。

イエス様があんまり楽しそうだったので、
子供達は次から次からやってきて、
粘土よりずっと高い、ずっとすごいオモチャを持った子まで、
イエス様の粘土をほしがりました。

イエス様はそんな子供達全員に、
小さな手に掴んだ粘土を、そっと手渡してあげたのです。



その様子を、城塞の側にいた見張りのローマ兵が、
遠くから眺めていました。

「馬鹿な子供だ。
 子供というものは計算ができないからな。
 あんなにしていては、自分のものがなくなってしまう。
 今に見ていろ。
 一つもなくなってしまったといって泣き出すから」


確かに、イエス様は小さくて、まだ計算はできませんでした。

けれども、不思議なことに、
たったひとかたまりしかない粘土は、少しも減らなかったのです。

近所の子供がみんな同じだけ手にして、
遠くから来た子まで分けて貰って、
みんなで楽しく遊んでいるのに、
まだまだ、十分に余っていたのです──


兵士は次第に、恐ろしくなってきました。


「これは気味の悪いことだ・・・
 確かにひとつかみしかなかった粘土が、
 今では小山のようにたくさんになってしまった!」


イエス様は、粘土で小さな小鳥を次から次へと作りました。

それは愛らしく、今にも動き出しそうな、
むくむく太った小鳥たちでした。
ひな鳥もいます。母鳥も父鳥もいます。
兄さん鳥や姉さん鳥、妹鳥に、弟鳥もいます。

イエス様の粘土の小鳥には色もないのに、
まるで見詰めていると、さまざまの色に羽毛が輝きだしてくるほど、
歌声も聞こえてくるように思えました。

兵士はため息をつきました。


「なんという美しさだ!
 もしあれを売れば、あの子は大金持ちになるだろうに。
 一つでも売れば、あの子の父親も母親も、
 生涯働かなくて済むだろう!」


小鳥の美しさに惹かれて、
イエス様のもとにはたくさんの子供達が集まってきました。

「かわいい!」
「ねぇ、ひとつちょうだい!」

イエス様は自分の小鳥たちが誉められたのが嬉しくて、
にこにこしながら、みんなに一つずつ小鳥をあげました。
兵士はびっくりしました。

「なんということだ!
 あんな宝物を、ただでやってしまうなんて!」

しかしイエス様は、子供達全員に、小鳥を一つずつあげました。
自分の手元に、一番小さなひな鳥を一つ残して。

そしてそれを小さなてのひらに乗せて
いつまでもにこにこと、幸せそうに眺めているのでした。
やがて一つきりになってしまった小鳥に、
イエス様はまた、せっせと家族を作り始めました・・・


・・・それを見ているうちに、
兵士の心にはどす黒い怒りがこみ上げてきました・・・

なぜかはわかりません。
しかし、どうしようもなく腹が立ってきたのです。


「あいつはなんでも、ただでみんなにやってしまう!
 
 もしも国中の人間があんな風に
 ただでものをもらうことに慣れてしまったら、
 誰も働かなくなってしまうじゃないか。
 
 この世には、稼がなくて手に入るものはない。
 ただでもらえるものなんか、ありはしない!」


兵士はそう考えると、イエス様のもとに大股でやってきました。
イエス様はにこにこして、兵士を見上げました。

兵士は大きな足を振り上げて、
イエス様の小鳥を踏みつけました。

「やめて!」

イエス様は大きな声で叫びました!
大切な小鳥たちが、次々に踏みつぶされて、
ただの粘土の塊に戻っていきます。

イエス様は兵士の足にしがみつきましたが、
兵士は大きくて、止めることはできませんでした。

イエス様は泣きながら叫びました。


「みんな逃げて!
 飛んで。飛んで!!」


すると、粘土の小鳥たちは、次々に泥の中から舞い上がりました。

泥の代わりに真っ白な羽毛が舞い散り、
あの一番小さな小鳥も、はたはたとおぼつかなく、
しかししっかりと、
大空に向かって舞い上がっていったのです。


兵士は呆然と、空に向かって手を振るイエス様を見詰めました。

そして泣きながら跪きました。

「あなたは誰なのだ!
 泥に命を与え、
 なんの見返りもなく
 全ての人に等しく恵みを分け与えるあなたは!」


イエス様はただ、にこにこと兵士を見詰め返すだけでした。
空にはイエス様が作った小鳥たちが、
いつまでもぐるぐると輪を描いて、
誇らしげに飛んでいました。



兵士は、それから兵士をやめて、
畑を作る人になったということです。
そして、それが富める人であっても貧しい人であっても
良い行いの人であっても悪しき行いの人であっても

訪ねてくる全ての人に等しく、
作ったものを分け与える人になりました。

それでも兵士の畑から、作物がなくなることはなかったということです。



おしまい





このお話は、イエス様が作った粘土の小鳥が飛んだという物語に
わたしのクリスマスにちなんだ願いをこめて、新しく脚色したものです。

行いによって人を裁かぬように、
行いによって人をもてなさぬように。
全ての人に、等しいやさしさをもって接することのできる人になりたい。

それが今回の願いです^^


また来週、小鳥のお話でお会いしましょう。
それでは!

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名古屋グランパス優勝! +++望獲つきよ

2010年11月30日 written by...望獲 つきよ

みなさん、こんにちは!
みなさんはJリーグなんかご覧になっていますか?

わたしは実は、
開幕以来、プレシーズンマッチから名古屋を応援しています!

その名古屋がついに勝ちました!
優勝です!
どれだけ嬉しかったか、是非お伝えしたいのですが、
書くことができません。

言葉にすると、どうも安っぽくなってしまうので...。
嬉しい、という言葉の数千倍、嬉しかったのです。

選手の皆さん、関係者の皆さん、
そして応援を盛り上げてくれたグランパス君ファミリー、
みんなおめでとう、そしてありがとう!

せっかくですので、今日はこのグランパスにちなんだ話をしたいと思います。
でも、サッカーの話じゃありませんよ^^


***

みなさんは、大海原のネズミという実験をご存じですか。

二匹のネズミを連れてきます。
そして、二つのプールを用意します。

一つは、真ん中に小さな島が浮いているプール。
もう一つは、水しか入っていないプールです。

ここに、それぞれ一匹ずつネズミチャンをいれます。
(可哀想なので、本当に実験しないでくださいね)

すると、ネズミは泳ぎ出します。
島のあるネズミは、やがて島にたどり着き、
そこにのぼってホッと一息。

島のない方のネズミは泳ぎ続けますが、
どこにも陸地はない・・・。
しだいに諦めて、ただ浮いているだけになります。


可哀想なので、ここで一旦救出。


後日、同じ実験をします。

島のネズミは、今回はもう慌てません。
だいたい、真ん中辺りに陸地があったことを覚えているからです。
スイスイ泳いで、真ん中にたどり着きます。一安心。

一方、島のないネズミは、またもパニック。
泳ぎ続けますが、今度も陸地はない・・・
絶望して、ただ浮くだけとなります。可哀想。


さて、この実験を繰り返したあと、今度はプールを交換します。


すなわち、島のネズミには島ナシプール。
島ナシだったネズミには、島つきプール。


結果はどうだったでしょうか。

結果は驚くべきものだったのです。


島ナシになった旧島ネズミは、
決してあきらめることなく泳ぎ続けました。
もう島はありません。
どんなに探したって、陸地はないのです。
しかし、何時まででも、ぐるぐるとプールを巡り続けました。
実験が終了になるまで。


一方、島を持った旧島ナシネズミは、
プールに入るやいなや、だらーんと浮きました。
泳ごうともしません。
もがこうともしません。

ほんの少し先には陸地があります。

なのに、手を伸ばそうともしないで、
ほんの一掻きもあがこうともせず、
実験終了まで、静かに漂い続けたのです。


**********


この実験は、
Jリーグのお荷物とさえ言われた弱小チーム名古屋グランパスを、
わずか一年で、強豪と言われるまでに押し上げた名将、
アーセン・ベンゲル監督の言葉を立証するものでもあります。


曰く──
「負け犬根性の染みついた者に勝利はない」


このネズミに染みついたものこそ、
ひとが一般に、「負け犬根性」と呼ぶものです。

言葉ではよく聞きますし、自分でも解った気になっていますが、
実際に目の当たりにすると恐ろしいものがありますよね。


ネズミは、何度も何度もトライしては失敗したという過去の経験から、
「島はないんだ」
とすでに決めつけてしまっています。

どうせない。
どうせ失敗する。
どうせできっこない。

──だからやらない。
だって体力の無駄だから。


このように敗北を続けた人は
ついには、「何か失うくらいなら、やらない方がまし」という
最悪の結論になってしまうのです。


***********************


グランパスも、すごい負け犬でした。
開幕以来、かなりな勢いで負けがこんでいましたから、
どうせダメ・・・という意識から、
闘う意欲そのものが失せていました。

しかし名将ベンゲルは、お前達はだめだという代わりに、
「島はあるんだよ」ということを教えました。

君たちは泳げているよ?
泳ぐ練習なんか要らない。
ただ、島はないと思っているから、元気が出ないだけだ。
でもみてごらん。島はあそこにある。

だから、さあ泳いでいこう。
まずは前に手を伸ばそう、と。

簡単にできることから始め、
「できる」経験を積み重ねていくうちに、
グランパスは変わりました。


どうせできない、から
できかもしれない・・・に。

やるだけ無駄、から
やってみたい・・・!に。


これこそ、島のネズミの思考法です。


何度も「島を見つける」という勝利を経験した結果、
島のネズミは経験を身につけました。

「努力すれば、必ずたどり着く」という経験です。

できなかったことは一度もないのですから、
苦しくったって平気です。
その先には必ず島があり、きっと勝利があるのですから。


これは希望の力となり、
苦しくても、苦しくても、きっときっとやれる!という意思となって、
島のネズミを支えました。

とりつく島の一つもないプールの上で、
彼があくまで泳ぎ続けたのは、
この「経験による希望」の力だったのです。


グランパスは負け犬根性を捨てて、
窮地に陥っても試合を投げなくなりました。
危機に陥ると、「いや、きっとできる!」と信じるようになりました。


そして、ベンゲルが去ってからも・・・
たくさんの危機、島のない時代を泳ぎ抜け、
ついには、優勝、という
大きな大陸にまで泳ぎ着いたのです。


じつはグランパスは、
負けていた時代と戦術的にはなんら変わりはありません。
精神的に生まれ変わったことによって、
勝利の土台を作ったと言うことができると思います。


*************


できないと信じることとできると信じることには、
とても大きな違いがあると解って頂けたと思います。


しかし最後に、
いわゆるアファメーション、ポジティブシンキングが気に入って、
一生懸命やっているのに成果が出ない>_<と悩んでいる方に向けて、
負け犬ネズミについて、もう一つお話ししておきましょう。


実は、負け犬ネズミにも、すごいパワーが隠されているのです。
「負け犬根性」は、
生き物としては命を守るための、本当に大切な戦略なんです。


島もないのに、いつまでも泳ぎ続けたら体力の無駄です。
無駄にあがいて、疲れ切り、
最後は無意味に死んでしまうことでしょう。


飛べる!!!と信じてビルから飛び降りれば死にます。
わたしたちは、どんなに鳥のマネをしても飛べない、という経験から、
ビルから飛び降りないのです。


どうせダメ、なのですから。


つまり、「無理ならやらない」ということは、
生物にとっては、大切な本能なんです。

わたしたちは、本能的に、
ごくごく自然に、負け犬になるようにできているんですね^^a


だから、わたしは負け犬になりやすい、
自分は負け犬だ!>_<
ネガティブすぎるぅ・・・という方は、自信を無くさないで頂きたいのです。


それは「生きる力が強い」ということです。


ネズミだって、ただ浮いてるんじゃない。


それは、力をしっかり温存して、
いつか流れてくるかもしない浮島に、
サッと飛びつくための、生きる力なんです。

グランパスを見てください。
ベンゲルという島が、ちゃんと流れてきました。
もしも彼等が無茶なことをして、
たとえばどうせ勝てないに違いないから、
もうこうなったら相手チームを殴ってやる!というところまで無駄に闘争心を高めていたら・・・

最後にはチームがなくなって終ってしまう。

でもそこで闘争心が自然に折れて、
あーあ・・・ダメなんだ・・・と待ちに入るメカニズムが、
わたしたちを崩壊から救っているのです。



*****************


このように、自然は完全に平等であり、
島のネズミにも、負け犬ネズミにも、
違った形での力とチャンスを与えます。


しかし、ただ人間だけが、余計な「感情」によって、
負け犬パワーを無駄遣いします。

どうせみんなより劣ってる、という劣等感
あいつの方ができる、という嫉妬
できない姿は格好悪い、という差別感

などなどなど・・・


負け犬であることに平然としていられないのですね。
島が羨ましく、島ネズミにバカにされていると考えてしまう・・・。


しかし、ネズミを見てください。
彼は全く平気です。

ただ疲れたし、できないと「知った」から、
ちょっと休んでいるだけです。


「今はできないから、じっとしてチャンスを待つ」
という負け犬パワーを、彼は最大限に使っているのです。

イヤイヤ、イライラ、モヤモヤは、
「負け犬力」を本当にだめな力に変えてしまいます。


みなさん、どうか自分はどうせだめだと思ったときは、
このネズミとグランパスを思い出してください。
心からできない、休みたいときに、
無駄なポジティブパワーは不要です。

ダメだと思わないだけで、十分ポジティブではありませんか!
時には勇気を持って諦め、心と体を温存しましょう。

どこかから流れてきた名監督や流木にしがみつくために、
あなたは休んでいるだけです。

「今はできないからじっとしてる」自分を、
「ダメでグズでどうしようもない」自分に変えてしまうのは、
自分の考えだけですよ。


ひとたび、チャンスにしがみつけば、
その成功の記憶が、たちまちあなたを希望のネズミに変えていくでしょう。


そう、これは二匹の別のタイプのネズミではなく、
二つの、違う場合の「選択」です。
島のネズミだって、島のない状態が続けば、
負け犬になって休むときが来る・・・



流れがあるときは、希望にしがみついて進め!
流れがないときは、漂いながら待て!


自然はそう、教えてくれているのです。

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恐竜の夏 ++++望獲つきよ

2010年9月29日 written by...望獲 つきよ

みなさん、こんにちは!
夏休みもいよいよ終わってしまいましたね。
でもなんだか暑い日々が続いているので、
ついついまだ夏!みたいな気持ちでおりましたが、
ふと気がつけばもうハロウィンではありませんか...

夏休みというと恐竜のハナシが必ず出てくるものですが、
先日、いつもお仕事でいっしょに本を書かせて頂いている、
サイエンス・ライターの先生といっしょに、とある恐竜展に取材に出掛けました。
(ついでにいうと、そのためにおやすみをいただいちゃいました。
 鑑定できなかった皆様、申し訳ありません!)

今回のわたくしの担当はカメラマンです。
たまたま感度の良いレンズの子を、
しかも友達から借りて^^;持っておりましたので、
急遽呼ばれましたわけです。
でかけたのはここ。


「地球最古の恐竜展」


お詳しい方には言うまでも御座いません、
お詳しくない方は聞きたくも御座いませんというような話題ですので、
展示内容は手短に...

本邦初公開どころか世界初公開となる、
恐竜の中でも最も古い、
すべての恐竜のご先祖様みたいな子たちの標本がやってくるという
本当に素晴らしい展示会でした。

この古い標本達の中には、
恐らく皆様が目にしたことのない様な、奇妙な子たちがたくさん混じっています。

ここから今の鳥になる子、ワニになる子、恐竜になって絶滅してしまった子、
そしてほ乳類になっていく子、両生類になっていく子...
その全ての発祥点のような、古い古い標本達がやってきたのです。

ほ乳類の先祖、エクサエレトドンの骨も来ていました。
復元するととても...とても....
なんというか...
....つまりあまりにもブチャイクなお顔で笑ってしまうのですが、
わたくしたち全員の先祖で御座います。

あのお顔を見た後で、おしゃれして歩いてる人を帰り道に見ても、
ただただ、可笑しいばかりです^^


この展示は、世界初公開のものがたくさん含まれているというだけでなく、
展示場所が画期的なことでも知られています。

なんと!
恐竜なのにあの!

六本木ヒルズ展望台!!

証拠写真を公開。ばーん。


dina1.jpg


手前がファソラスクス(お肉大好き)、
奥はレッセムサウルス(菜食主義)の二人です。
新宿方面のビル群なんですが、わかりますかね??

場所からして大人向けにしよう、ということで、
今回開催者の方々が大変工夫をなさいました。

なんと、なんと!



dina2.jpg
同じ子達を展望台側から見ています


そうです、夜になると照明が変わってこんな雰囲気に。
平日でも夜10:00まで入場できて、働く大人にサービス満点。

まだまだあります。
この写真の中央、何か小さく書いてありますよね・・・
近くで見ると・・・


dina3.jpg

恐竜BAR!
この子たちを見ながら、お酒が飲めてしまう。
オリジナルカクテルや、
恐竜の名前が付いたオリジナルワインまでありました。


さらに夜のサービスは子供さんにも。
金曜の夜には、懐中電灯を片手に、
ナイトミュージアムが楽しめるんですって。
きっとこんな感じに見えて、ちょっとドキドキのハズ・・・



dina4.jpg

フレングエリサウルス(手前)とヘレラサウルス


ちなみに、こんな顔してますが、
この子たちはうちの文鳥の遠い親戚です。

と、せっかくとったお写真なのでお裾分けしてみました。
恐竜展自体は終ってしまったのですが、
みなさんどこかで、わたしの撮った写真を目になさるかもしれません。
その時はもしかしてもしかすると、お知らせするかも★

ではでは、今回はこの辺で。

**ちなみに
こちらのアルバムで、これらの写真の大きいものを見ることができます。
写真は時々増えていくのでお楽しみに。
モバイルでもご覧になれますが、写真は小さいようです。

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